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LED定常光を操って、写真の表現力を高めよう

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筆者は普段は大学生として学業に励む傍ら、マップレンタルのパート社員として、機材メンテナンスを行っています。

写真に興味があり、一時期アメリカの美術大学の写真学科を目指していた筆者としては、照明をはじめとした機材のメンテナンスを担当していると、それらの機材でどのような表現ができるのか気になり始めました。

そこで今回はJINBEI EFD-60BINANLITE Forza 60C を活用して、定常光を使った3灯ライティングに挑戦しました。

3灯ライティングとは

3灯ライティングは、キーライト・フィルライト・バックライトの3灯からなるライティングをいいます。

基本的には、メインとなるキーライトを被写体の斜め前から当て、それによってできる影をフィルライトで補い、斜め後ろから補助的にバックライトを当てるというのがセオリーです。

Apple iPhone 15 (5.96mm, f/1.6, 1/100 sec, ISO40)

今回は、キーライトとフィルライトをそれぞれ被写体から1.7m、斜め30度の位置で配置し、バックライトを0.4mの位置から斜め45度の位置で配置しました。カメラは被写体に正対する位置で、被写体から1.6mの位置で配置しています。

自然光のみで撮影。陰影もはっきりしない上に、全体的に暗めです

まず初めに、自然光だけで撮影したものをご紹介します。

全体的に暗い上に、顔面に影ができてしまいどこかパッとしない印象を与えます。

そこに、最も重要となるキーライトを入れてみます。

キーライトのみを入れた状態。明るくなりましたが、顔の右側の陰影が目立ちます

キーライトを入れてみることで大分明るくなりました。

よく言えば光のメリハリがついた一方、悪く言えば顔の右側の陰影が目立ちます。ソフトボックスなどを介さず直接当てたことによって、光が少し硬い印象もあります。

そこで、影を打ち消すためにフィルライトを足してみました。

SONY ILCE-7M3 (105mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO100)

顔の右側の陰影は目立たなくなりましたが、よく言えばフラット、悪く言えば少しのっぺりした印象になりました。

では、リアライトを足してみましょう。

SONY ILCE-7M3 (105mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO100)

後ろから光を当てることで、首筋から頬筋にかけての輪郭に光が当たり、顔の陰影を抑えつつ立体感を出すことができます。

SONY ILCE-7M3 (105mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO100)

左からキーライト・フィルライト・バックライトのみをそれぞれ当てた写真を紹介します。

それぞれのライトがそれぞれの役割を果たしていることがお分かりいただけるかと思います。

また、応用編として、バックライトの色を変えてみることによって、写真に違った印象を与えることもできます。

SONY ILCE-7M3 (105mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO100)

以前はこのように色を変えながら照明を当てるのはカラーフィルターが必要でしたが、フルカラー対応のForza 60Cであればその心配も無用です。思い通りの色を使って、思い通りの表現を手軽に楽しめるようになりました。

番外編として、バックライトを背景に向けて当てて背景に反射させることで、こんな表現も可能です。

フルカラー照明であればそれぞれの色に合わせた背景紙を用意する必要もありません。

まとめ

スチルといえばストロボなどの瞬間光を用いるのが定石でしたが、近年LEDのCOB(チップ・オン・ボード)が実用化されたことにより、高出力のLED定常光を使うやり方もポピュラーになりました。

機種によってはフリッカーの心配もいらないので、スチルのみならず動画にもこれらの照明を応用することも可能です。

小型軽量のEFD-60BIとフルカラー対応のForza 60Cを組み合わせて光を操ることで、写真のみならず動画も含めた映像表現力をグッと上げることができると感じ、今後の作品作りに応用してみたいという考えが頭の中に浮かびました。

スタジオ撮影のレベルを上げてみたいという方へ、ぜひ定常光を使ってみませんか?

使用した機材

SONY ILCE-7M3 (49mm, f/4, 1/30 sec, ISO100)

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