
ニコンZマウントで玉ボケ比較 Z85/1.2VSタムロン90/2.8マクロ
2月、立春を過ぎて日も長くなってきた今日この頃。
しかし、東京の寒波はまだ手を緩めてくれそうもなく、
夜に吹きすさぶ寒風は空気の潤いすら奪うほど。
そんな夜、イルミネーションの煌(きら)めきが、
当代きっての中望遠レンズを試します。

バレンタイン直前、イルミネーション輝く新宿にて
ポートレートで使いやすい中望遠レンズ
「ボケが表現でき歪みが少ない80~135mmの中望遠レンズはポートレートに向く」
というのが写真撮影の定説です。
そのため今回使ったニコンのNIKKOR Z 85mm f/1.2 Sのような大口径中望遠レンズがポートレート撮影の基準となります。
一方、日本ではややマイナーですが中望遠マクロレンズもポートレート撮影に有効で、中でも「タムキュー」ことタムロンの90mmマクロ(今回は90mm F/2.8 Di III MACRO VXD(ニコンZマウント))はポートレートマクロとして著名です。
今回は大口径VSマクロにて夜間ポートレートで重要な玉ボケを比較していきます。

NIKKOR Z 85mm f/1.2 Sはポートレートに最適なスペック

90mm F/2.8 Di III MACRO VXDはポートレートに定評のあるタムロンレンズ
バレンタイン直前、イルミネーションで色づく新宿にて
被写界深度が浅くボケが大きいZ85/1.2
85mmの焦点距離とF値1.2という特大口径はまさにボケを重視するポートレートにうってつけのスペックで、開放では特に光源が大きくにじみ柔らかさが強調できるのがZ85/1.2の魅力です。
一方ボケの大きさは被写界深度の浅さとも言い換えられるので、ピントを当てた街路樹も開放では大きくボケはじめ、被写体によるとピント合わせの難しさを感じそうです。

開放1.2では大きなボケが得られる一方、口径食も目立つ

F1.6、ボケ量は大きく口径食も少なくなる

F2.2、ボケは小さくなるが口径食がほぼなくなる

軽く撮った被写体が芸術性を帯びる

東京のあまりに冷たい空気感すら描写しそうな性能
扱いやすくボケもキレイなタムキュー
タムロン90/2.8マクロのボケは、2段以上明るいF1.2のそれよりは小さくなります。ところがボケ味は柔らかく、開放でも適度に被写界深度がありつつ合焦したところにキレがあり、さらにコンパクトさも相まって扱いやすさが好印象です。

開放2.8からクセのないボケ感がマクロの魅力

F4、ボケ味もよく全体的にクセのない画

F5.6、ボケは小さくなるが合焦点にキレがある

寄れるのが何よりの魅力

接写すると背景の摩天楼が玉ボケとなる
1.2の扱いにくさと2.8の限界
Z85/1.2のような大口径レンズの欠点としては、レンズそのものが大きくなってしまう点と、光源の口径食が目立ちやすい点があります。
ただし、大口径ということは絞り値に余裕があり、タムロン90/2.8マクロの開放値である2.8はZ85/1.2だと2段以上絞った数値なので描写力の美味しいところが活かしやすいです。

Z85/1.2の開放は前ボケの光源に口径食が見られる

Z85/1.2をF2.8まで絞ると玉ボケが完全に円となり、画質も向上する

タムロン90/2.8マクロは開放でも十分な画質だが、Z85/1.2のF2.8より背景の光量落ちなど今一歩なところがある
余談ですが、弊社マネージャーはZ85/1.2に対して「大きいレンズだね」と感想を漏らしていましたが、大口径=レンズが大きいというデメリット分絞りによる表現力の幅が広いといえます。
Zシステムで輝く「もう一本」タムロン90/2.8マクロ
ニコン純正Zレンズの中望遠域ラインナップは、85/1.2、85/1.8、135/1.8、MC105/2.8となりますが、その中にあってタムロン90/2.8マクロの画角は想像以上に扱いやすく、ポートレートはもちろんマクロなので当然寄りに強いのが魅力です。
そのため、他の大口径単焦点レンズやズームレンズと併用しやすく、特にファッション撮影ではポートレートからアクセサリー撮影まで起用にこなせる1本となるでしょう。

今回ボディはZ6IIOPPO Reno3 A (4.71mm, f/1.7, 1/17 sec, ISO1147)
を使用