フォトネクスト2023で示された、変化するスチール照明のニーズ
大手ストロボメーカーが語る、照明ニーズの変化
国産ストロボの大手、コメットは今年のフォトネクストに自社単独のブースを構えた。そんな同社の菅原氏から写真照明に関する重大な証言を得た。
「ストロボといえばバッテリー式、カット数を増やすのに移動時のAC電源のつなぎ直しは障壁」
「若い世代は撮影にLED照明しか使ったことがない人もいる」
同社は既にバッテリー式モノブロックストロボもLED照明も扱っているが、どちらも自社製ではなく輸入品である。
もちろん安定性のあるAC電源を用いたジェネレーター・モノブロックタイプのストロボの需要や必要性も根強く、ワイヤレススレーブ対応やチャージ時間短縮などアップデートを図っているが、同社ブースでの注目はバッテリー式ストロボとLEDに集中していた。
https://comet-net.co.jp/products/index.html
より存在感を強めるLED陣営
一方写真照明としての存在感が強まっているのが、写真業界人には言わずもがな中国系メーカー製のLED照明で、セミナーステージでは多くの人を集めた。
2月のCP+ではスタジオ用ストロボが少数だったのに対しLED陣営は勢いがあり、今回のフォトネクストでも展示された照明機材の主役はLEDだった。
特に印象的だったのはナンライトで、高出力940wのフルカラーモデルEvoke900cを白背景に照射して色バックを作るというテクニックを紹介。照明で色バックを作るテクニック自体は新しいものではないが、灯体の機能で即座に色変更が行えるという利便性は魅力的。
カメラや照明映像がスチールのムービーとで機材共用化が進んでいる昨今、ナンライトのセミナーに登壇した鈴木祐介氏は映像畑からスチールへ移った人物で、この人選が時代を表す一幕と言えるだろう。
一方、照明の各種セミナーではストロボとLEDの併用のについても言及されており、特にボーエンスマウントとプロフォト機材に対応するPhottixのソフトボックスは、そのニーズに対応する画期的な存在として注目を集めた。
注目機材ピックアップ
以下、独断と偏見で気になった機材をピックアップする。写真館などのスチールのプロ向けイベントであるが、ムービー需要に応える機材が見受けられ、現代の撮影業界のハイライトと言える。
デドライト neo フルカラー
KPIはスポット定常光の定番ブランド・デドライトのフルカラーLEDモデル neo フルカラーを展示。
LED化しても他の追随を許さないコンパクトなシステムは物撮りに最適で、フルカラー化によって多彩な演出が可能。DMX対応の他、他社のようにアプリコントロールも可能。小型照明の真打たる老舗デドライトの本気が伺える。
シンベイ HD-2MAX
サンテックからはジンベイブランドの新型クリップオンストロボ・スピードライト HD-2MAXを展示。先代のスピードライト HD-2PROに対してバッテリーを改良し最大出力で500回発光可能に。独自のインテグレーテッドホットシューは引き続き採用し同じシューで主要メーカーに対応している他、特殊形状を採用しているソニー用に専用モデルも用意。
富士フイルムXF/GFシステム
APS-CフォーマットのXFマウント機にV-LOG性能を強化したX-S20を展示。動画機能を強化するグリップや電動ズーム付き標準レンズ、さらに外付け放熱ファンを用意した。
目立った催しとして展示ホールに併設されたリストランテ アッティモにてウェディングフォト体験会を実施し、レンタル機材で撮影出来た。筆者は50SIIに45-100/4を装着。一般的なシステムに比べ少し大柄になるが、大型センサーによって他社の機材と差がつく描写性能を軽快さをもって味わえた。先述のX-S20もムービー機材として紹介しており、プロユースとしてのXF/GFシステムの可能性を示した。