
星空を撮るのに最適なボディとは〜Z7II編〜
こんにちは。
冬といえば星空観察の季節ですね。
星空撮影に適した機材とはどのようなものか、数回に分けてシリーズでお送りしていきたいと思います。
今回は、Z7IIを使用して星空撮影をした際のレポートをお送りします。
Z7IIとは?
Z7IIは、2020年に登場したZシリーズの高画素ミドルクラス機です。
Zシリーズとしては(Z6・Z7を1世代目、Z8・Z9・Zf・Z6IIIを2世代目として)約1.5世代目にあたります。
Z6IIと共通の外観を持ち、1世代目からはZシリーズ特有の見やすいEVFや新しいUIを受け継ぎつつ、記録メディアがXQD(CFExpress)シングルスロットからCFExpress + SD UHS-IIになったこと、またプロセッサがデュアルEXPEED6になったのが大きな進化点です。
作例
星空撮影は長時間同じ場所にとどまる都合上、あまり作例をご紹介できないのですが、今回は富士五湖周辺数カ所でいくつかの構図を試しました。
レンズはZ 14-24mm f/2.8SとZ 20mm f/1.8Sを使用しました。
高感度ノイズ低減は「標準」、長秒時ノイズ低減は「OFF」に設定しています。
NIKON Z 7_2 (15mm, f/2.8, 13 sec, ISO3200)
こちらは山中湖岸で撮影しました。
たまたま取材中に運悪く自前の三脚が故障してしまい、パーマセルテープで応急処置をしたため、万一の破損のリスクを考えて岸壁から撮影しているため、柵の写り込みはご容赦ください。
星々が中央から隅々にかけて繊細に描かれているのがわかります。特に、周辺部の収差があまり気になりません。
それ以上に、高感度における画質の破綻が少ないのが魅力です。
NIKON Z 7_2 (15mm, f/2.8, 13 sec, ISO3200)
富士山西麓とオリオン座の周辺を拡大しました。
カラーノイズはやや目立ちますが、富士山の雪や麓の高原のテクスチャといったディテールは十分に残っています。
NIKON Z 7_2 (20mm, f/2.8, 13 sec, ISO3200)
今度はZ 20mm f/1.8Sにレンズを変えて、ソフトフィルターと光害カットフィルターを装着して撮影してみました。
ソフトフィルターを入れているのでディテールはやや劣りますが、星々が綺麗に写っているのがおわかりいただけるのではないでしょうか。
場所を変えて、精進湖に移動しました。
NIKON Z 7_2 (20mm, f/2.5, 13 sec, ISO3200)
精進湖といえば天の川を入れる構図が定番でしたが、スケジュールの都合上今回は撮影することが叶わなかったため、改めて別の機会に紹介させていただければと思います。
上の2枚はISO3200で撮影しましたが、ノイズは入っているもののディテールは良好です。
NIKON Z 7_2 (20mm, f/2.5, 13 sec, ISO3200)
富士山の頂上付近を拡大しました。
続いてISO6400の作例です。
NIKON Z 7_2 (20mm, f/4, 13 sec, ISO6400)
遠目に見てもノイズが目立つようになりました。ウェブにアップロードする用途なら使えるかもしれませんが、大判印刷ならそろそろ厳しくなってきます。
NIKON Z 7_2 (20mm, f/4, 13 sec, ISO6400)
先ほどと同じアングルで拡大しました。明確にノイズが目立ちます。
いくつか感度を調整しながら撮影を行いましたが、SNSにアップするような用途であればISO6400でも十分作品になりそうな画質を保てているのではないでしょうか。
もちろん、Z6シリーズやZfのような低画素機を使った方が高感度は有利ですが、高画素と高感度性能を両立しているカメラはあまりないのではないでしょうか。
最後に、ISO25600で撮影した画像を紹介します。
NIKON Z 7_2 (20mm, f/4, 3 sec, ISO25600)
NIKON Z 7_2 (20mm, f/4, 3 sec, ISO25600)
ここまでくると、明確に作品撮りとしては難しい領域に入ってしまいますがギリギリ使えそうなレベルです。
記録用、あるいはコンポジットにするなら使えないこともないですが、撮って出しやLightroomで現像するレベルであれば、若干扱いづらい領域に入ってきます。
Z8との大きな違いとは?
Z7IIとZ8は、約4600万画素の高画素センサーを搭載しているという点で共通しています。
しかしながら、この双方の機種ではセンサータイプが異なり、若干絵作りにも差があります。
筆者が一昨年8月にZ8をレポートした際に気づいたことではありますが、Z8は高感度の画質にやや難がある印象を受けました。
具体的には、ISO3200周辺からノイズが増えてしまい、なおかつ全体的にもやがかかったような絵作りになってしまうため、暗所の撮影にはあまり向きません。
しかしながら、Z7IIはノイズが増えても、もやがかかるといったことはなくディテールも保持される印象です。ISO25600でも「ギリギリ使えそう」と表現したのはこのためにあります。
撮影後に現像される方であれば、工夫次第では良好な画質を保つことも十分可能でしょう。
また、Z7IIの方がプロセッサの世代が古い(Z7II:デュアルEXPEED6、Z8:EXPEED7)という違いもあるため、処理能力にも差があります。ただ、星空写真のように秒間数十コマ連写するという使い方でなければ、十分なのではないでしょうか。
まとめ
今回はZ7IIを試しましたが、高画素・高解像のみならず高感度性能もかなり高く、バランスの取れた機材であることがよくわかりました。
個人的にニコン派ということもあるのですが、星や天の川を撮られる方にはぜひお勧めしたい機材でもあります。
次回は別メーカーの機材を紹介したいと考えておりますので、お楽しみに!