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カメラの基礎知識

ざっくり解説!カウンターバランス付きビデオ雲台について

最適化されているものを使いましょう

撮影機材を幅広く扱うマップレンタルでは、スチールカメラだけではなく業務用ビデオカメラやシネマカメラといった動画機材も扱っています。
スチール以上に三脚の必要性が高いのが動画の世界。特に雲台の構造はスチール用とビデオ用とで扱い方が大きく異なります。

ビデオ雲台のキモはカウンターバランス

スチール用の雲台は極めてシンプルです。フレーミングの際に特定の角度でカメラを止めたいときハンドルを回してネジの力で止めれば良いのです。
しかし動画を撮るにそれは不十分で、スムーズにチルトやパンでフレーミングする必要があり、その都度ネジで固定しては映像が撮れません。
そのため、撮影機材の重さと雲台の機構による反発でバランスをとる必要があり、高級なビデオ雲台にはそのための機構「カウンターバランス」が備えられています。
さらに、チルト・ロールをする際のトルク=力のかかり具合を調整するダイヤルもついています。

このような角度でネジ止め固定せずバランサー機構でとどめられるのがカウンターバランス式ビデオ雲台

完全バランスの調節ノブ。リーベックのHSシリーズは目盛で効きを確認できる

2種類のカウンターバランス方式

キモであるカウンターバランスの調節方式は大別すると段階式と完全バランス式に分かれます。

段階式の銘品はザハトラーで、内部のギアでカウンターバランスを迅速に決められます。ただし微調整が効かないのが短所です。

一方完全バランス式は油圧シリンダーの圧力を調整することでバランスを無段階調節できます。短所としてはバランス調整に少し時間がかかります。ヴィンテンやリーベックで採用されている方式です。

保管時に注意!デリケートなカウンターバランス

便利なカウンターバランス機構を保つために、注意しなくてはならないのが保管時や移動時の雲台の扱いです。
まず、絶対に気をつけなければならないのが雲台のチルト軸(首をふる部分)を必ず初期位置の水平状態にすることです。傾けたままにすると内部の機構に異常が出ます。

ビデオ三脚の専用ケースには雲台の向きが示されています

リーベックは未使用時、雲台のロックやバランサーをフリーにする

さて、少々ややこしいのがメーカーによって保管時の設定に差異があります。
リーベックでは公式サイトに以下のような説明があります。

カウンターバランス機能が付いている場合はバネのへたり防止の為弱めてください。パン、ティルトのロックも解除しておくとロック機能の負担を軽減できます。

ザハトラーとヴィンテンは、修理を担当しているテクニカルファームへ問い合わせたところ以下のような回答を頂きました。

段階式のザハトラー
バランス→一番重くする 
チルト&パントルク→フリー 
チルト&パンロック→フリー
バランス機構にはゴム製の幕状のパーツ(バランススプリング)が入っています。薄いバランススプリングに負荷がかかり続けるとゴムが破れてしまう原因になるので、バランススプリングを一番分厚くした状態で保存します。

ザハトラーの場合バランサーは最も大きな数字に、他はフリー

完全バランス式のヴィンテン
バランス→使用したままにする(しばらく使用しない場合は一番軽くする )
チルト&パントルク→一番軽く
パン&チルトロック→フリー
バランスダイヤルを回すときにバランス機構に負荷がかかるので、使用した状態のままあまり回さない方が負荷をかけません。

完全バランス式のヴィンテンはリーベックと基本は同じ、バランサーは使った時の状態で基本OK

まとめると、カウンターバランスは無段階式の完全バランスは使用したままか緩める、段階式は一番重くし、トルクとロックは緩めることが推奨されてます。

今回の参考資料としてビデオサロン誌によるリーベックの完全バランス式雲台の内部構造の動画をご紹介します。
メカメカしさにテンション上がります…(小声)

 

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