キヤノンRF vs ニコンZ・夏の陣 35mm F1.4比較レビュー!
信州・伊那の谷、そこが大口径広角単焦点レンズのバトルフィールドとなるのです。
2024年・夏。業界二大巨頭キヤノンとニコンがなんの因果か同時期に送り込んだ35mm F1.4。
試してみたいのですよ、比較したいのですよ、機材マニアとしてはッッ!
いきなり取り乱しました…。
35mm F1.4とはいかなる存在か
「明るい広角レンズ」として各社開発にシノギを削ってきた35mm F1.4というレンズ。
1961年に発売されたライカの名玉ズミルックスM35mm F1.4他、マニアが魅力を語ればその話題にきりが無く、たとえば赤城耕一氏が愛好していることで広く知られています。そしてデジカメ Watchにて赤城氏がRF35mm F1.4 L VCMをレビューした際に「(Z 35mm f/1.4は)真逆の思想が背景にあるようにもみえます」と語っており、レンタル店の一員としてマニアとして、これは直接対決させたいという欲に駆られました。
カメラはEOS R(私物)とZ6ll(当店レンタル品)、絞り優先オート、色温度5000k固定、JPEG撮って出しで比較していきます。
平面の性能
レンズの光学性能を簡易的にチェックするため、試しに木の板でできた壁を写してみました。
結果としては絞り開放時に解像感の均一性があったのがRF35/1.4でした。
歪みに関しては、ボディ内補正を考慮しても両レンズでほぼ見られません。また当然少し絞るだけで描写が向上します。
ボケ感の比較
レンズのスペックシートでは推し測りにくい要素として、ボケの表現力があります。
絞り開放で前ボケを比較すると、わずかにRF35/1.4のほうが滑らかに感じますが、実用上多用する後ろボケはZ35/1.4のほうがキレイという印象を受けました。
ボケを活かした表現だと、画全体の雰囲気としてZのほうが優秀と感じました。
スナップ勝負
次はマニアックな性能比較は抜きにして、お楽しみ・スナップ撮影レンズとしてどうなのか?町撮りでためしてみました。
AF速度はどちらも申し分なく、気持ちよく町の表情を写してくれました。
ただ、都会という名の石の墓場(byロダン)からやってきてカメラ2丁構えたガチ風な私は、町ゆく人々からちょっと怪訝そうな視線を浴びました…。
RF35/1.4スナップ集
Z35/1.4スナップ集
仕事に使うならRF、表現に使うならZ
身も蓋も無い話になりますが、小売価格や当店レンタル価格で比較してしまうとRF35/1.4のほうがZ35/1.4よりも高値です。実際RFのほうは各種高級硝材やキヤノンレンズで初採用のボイスコイルモーターが使われているのに対し、Zのほうはニコン伝家の宝刀ナノクリスタルコートやEDレンズが採用されていません。
しかしZ35/1.4の写りに妥協は感じられず。一方RF35/1.4も価格相応に絞り開放から信頼できる逸品です。そこで強いて価格度外視で感想を述べるなら「仕事に使うならRF35/1.4、表現に使うならZ35/1.4」です。
おそらくですが、RF35/1.4を手にした人はZ35/1.4が気になり、その逆もありえるのではないかと思います。そんな方々にはぜひカメラボディごとレンタルしてほしい…とレンタル店員らしい提案をさせていただきます。
伊那の谷の思い出
今回のレビューのため、田畑や光学・精密電子機器工場が多く見られる伊那谷に赴いたのですが、そこは祖父母が暮らしていた地域で、幼少期毎年訪れていました。
水がキレイでそれが稲作や工業に用いられ、多くの家庭で井戸水をくみ上げており、それは子どもの舌でも美味しいものでした。
幼い時分祖父と一緒に畑や籾摺り(もみすり)に行ったり、かき氷を食べながら高校野球をテレビで見ていた記憶がよみがえりました。
今回、日々向き合っている光学機器の「ふるさと」に想いをはせつつ、35/1.4をにぎり思い出を胸に伊那の谷を撮影しました。