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富士フイルムの「神レンズ」のタイムレスな魅力

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今回ご紹介するのは、富士フイルムの「XF35mm F1.4 R」です。

2012年2月のXシリーズ登場とともに発売された、ミラーレス用レンズとしては歴史の長い一本です。

ファンからは「神レンズ」と呼ばれ、2021年9月に後継機たるXF33mm F1.4 R LM WRが登場した現在でも、人気が衰えることのない一本です。

今回は新宿周辺を撮り歩いた数枚から、このレンズのポテンシャルを見出していきたいと思います。

解像感

いくつかのシチュエーションで撮影してみました。

まずは絞り開放で撮影した作例からです。

公衆電話にピントを合わせました。若干の甘さを感じます。

公衆電話と上のの緊急番号表にピントが合っていますが、少し甘めです。軸上色収差も補正し切れていないのがわかります。

次に、一段だけ絞ってF2.0で撮影した作例をご紹介します。

葉脈のディテールを繊細に描いています。

一段絞るだけで、ピント面の解像感とキレが格段に上がったように感じられます。真ん中の葉っぱの葉脈や、葉っぱの輪郭を丁寧に描いているのがわかります。

では、そこから3段プラスと、比較的絞ってみた一枚をご紹介します。

FUJIFILM X-T3 (35mm, f/5.6, 1/1400 sec, ISO160)

こちらの写真は、通路を通じて奥側から差し込む光がスポットライトのように地面を照らしているのが印象的だったため撮影しました。

地面に当たる光の加減や、地面のタイルのディテールが繊細に描かれていることがわかります。

開放は甘いですが、絞ったらキリッと写るという古典的なセオリーに則ったレンズのように感じました。

ボケ感

続いて、ボケ感を見てみましょう。

ボケはクリーミーで、輪郭はあまり気になりません。

後ボケは良好で、完全にアウトフォーカスの領域であればクリーミーなボケを楽しむことができます。

被写体を切り取ったボケというよりは、なだらかなボケといったイメージが強いでしょうか。

玉ボケの輪郭と軸上色収差は若干ですが気になります。

玉ボケですが、口径食は四隅を除いてあまり見られないのとは裏腹に、ボケの輪郭が若干硬く二線ボケの傾向が見られるのが特徴的です。

構図によってボケの雰囲気が変わる、そんな特徴を持ったレンズと言えるでしょう。

逆光耐性

はじめに断言しておきますが、このレンズは特別逆光耐性に優れたわけでもありません。

しかし、これはマイナスにもプラスにも作用する、このレンズ独特の味ともいえるでしょう。

若干露出オーバーかつフレアが盛大に出ているため作品とは言い難いですが、どのようなイメージで出るかというご紹介のために撮影しました。保護フィルターは外してあります。

中央のひまわりのあたりに紫色と緑色のゴーストが見て取れます。

こちらの2枚は夕方5時ごろ、日が傾き始めた頃に撮影しました。

西陽が強い中でフレーム内に太陽を思いっきり入れてみたところ、近年のレンズとしては珍しくゴーストとフレアが盛大に出ました。

太陽の角度によっては2枚目のような控えめな出方をしますが、逆光で積極的に使っていきたいという方には、もしかしたらあまり向いているレンズではないのかもしれません。

その一方で、「エモい」写真を撮られる方で、ゴーストやフレアも表現の一部と考えていらっしゃる方には向いているレンズなのかもしれない、と個人的には感じました。

まとめ

このレンズは古典的かつ保守的な設計を採用しているレンズで、「開放では甘く、絞ると写る」というセオリーをきっちり守ったレンズであるように感じました。

描写にクセはないですが、基本設計の古さとは裏腹によく写るレンズであると感じました。

今回はスナップで試しましたが、ポテンシャル的には風景・スナップ・ポートレートと何にでも適したレンズであり、工夫次第では可能性は無限大のように思います。

ぜひお試しください。

今回試したカメラ・レンズ

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