発売まで待てない!CP+2023カメラ・レンズ特集
3年ぶりのCP+開催
コロナ過の影響で2020年からリアル開催を見送ってきたCP+は、今年ついにパシフィコ横浜での開催が復活した。
そんなCP+2023から、今回発売前のカメラ。レンズ製品をピックアップし紹介する。
動体追従を磨き上げたキヤノン新型ボディ登場
キヤノンはEOS Rシリーズの新型ボディ、EOS R8(4月下旬発売予定)とEOS R50(3月下旬)を会場に投入。展示ブースではBMX(自転車)のパフォーマンスが行われ、すでに発売済みの上位機種EOS R3・EOS R6MarkIIも併せて試せた。
新モデル2種は共に販売上のメインターゲットはコンシュマーだが、基本的性能は上位機種と遜色なく、特に動体追従性能は目を見張る、そのうえ軽量で持ち運びが苦にならない。
EOS R8
EOS R8はEOS RPの後継だが、画素数・連写・常用ISO・測距エリアといった基本性能はR6MarkIIと同等で、RPよりも軽い461gを達成。
一方R6MarkIIからボディ内手ぶれ補正と電源OFF時にシャッターが閉じる機構がオミットされているが、リトルR6MarkIIというべき性能は満足感が高い。
EOS R50
EOS R50はエントリーモデルブランドEOS Kissシリーズの置き換えとなる。エントリー機種ながら一つ上位のAPS-C機種であるEOS R10と同じ画素数・常用ISO・測距エリアを誇り、連写性能最大12コマ/秒とセンサークリーニング機能がオミットされている点が見劣りするものの、高い動体追従性と軽量ボディの相性の良さが際立つ。初心者・上級者を問わない万人向けの1台。
ニコンはこだわりの単焦点レンズ投入
ニコンは新製品としてZレンズの85/1.2と26/2.8を展示。どちらも「光学屋」ニコンの意地を見せつけるような単焦点レンズとなった。
Canon EOS R (50mm, f/6.3, 1/125 sec, ISO1600)Z85/1.2S
85mmの大口径レンズはポートレートレンズとして定番のスペックであり、Z85/1.2Sは被写体のキレとボケの美しさが開放から絶妙で、さらに1段絞るとラージフォーマット機で撮影したと錯覚しそうな描写力を見せつけた。大柄ではあるが持つと重量バランスが良く、取り回しは思いの外苦にならない。コマーシャルユースには外せない1本となりそうだ。
Z26/2.8
Z26/2.8は非Sラインつまりコンシュマー向けの「撒き餌レンズ」であるが、サイズや画角などがスナップで気軽に使えるようなパンケーキレンズを意図して設計され、テッサータイプというシンプルな光学設計を採用し、ヌケのよさとキレが優れる。APS-Cフォーマットでは焦点距離39mmとなるため標準レンズとしても使用できるので利便性は高い。
電撃発表されたソニーFE50/1.4GM
ソニーはCP+開催に合わせFE50/1.4GMを発表し、会場展示を行った。発売は2023年4月21日で、同スペックレンズではツァイスバッヂのZAモデルがあり、その後継となる。
700g台のZAや50/1.2と比較し516gと軽量であり、スチールの普段使いからジンバルを用いての動画撮影まで幅広く扱いやすくなっている。
描写性能は、優れた光学設計により絞り開放から解像感やボケ感といった点にこれと言った癖も欠点も感じさせない。さらにAFの動作追従性能も優れる。標準単焦点レンズの王様と言われる50/1.4の王道ともいえる1本。
FE50/1.4GMは発売前商品としては珍しく会場で撮影した画像データの持ち帰りができ、このレンズに対するソニーの強い自信を伺えた。
GFXから待望のチルト/シフトレンズが参考出品
フジフイルムからはGFマウントのチルト/シフトレンズが参考出品された。
ラージフォーマット機であるGFXシリーズはコマーシャル系フォトグラファーから熱い支持を得ており、特にフォーマットの大きさを活かせる広角レンズによる建物撮影で重宝されている。そのためパース調整が可能な純正シフトレンズへの強い要望があるが、今回のCP+でついにお目見えとなった。
焦点距離30mm・F値5.6で、35mm判換算の24mm相当となるこのレンズは建物撮影の強い味方となるだろう。
発売時期については未定、担当者の方曰く「来年までには出したい」とのこと。
また、GFXからは55/1.7のアナウンスもあった。
話題騒然 シグマZマウントレンズ投入
シグマは開催直前にZマウント参入を発表し、4月発売予定のAPS-Cフォーマット向けレンズ16/1.4、30/1.4、56/1.4の3本を参考展示した。
業界のリーディングカンパニーであるニコンがZシステムを展開して以降、様々な事情からサードパーティレンズが発売しにくい状況が続いていたが、昨年のコシナ・フォクトレンダーシリーズやタムロン70-300mmに続き満を持してシグマからも発表され、大きな反響が会場でも寄せられていた。
担当の方に今後のフルサイズフォーマット等への展開などについて伺ったところ、自信のある表情を浮かべつつも「まだこれ以上はまったく決まっていない」とのこと。
コシナはRF向けフォクトレンダー・ノクトン発表
キヤノンRFマウントはニコンZ以上にサードパーティ参入へは及び腰ではあるが、今年のコシナブースではついに電子接点付きのRFマウントレンズであるフォクトレンダー・ノクトン50/1が参考出展された。
このレンズは同ブランドで発売されているライカMマウント・ニコンZマウント用の同スペック機の光学系を用い、クリックオフ機能と電子接点を備えた絞りリング付きMF機となっている。
手持ちのカメラで試すことも可能だった。開放でのにじむような描写は同ブランドのMFTマウントレンズノクトン25/0.95をほうふつとさせ、スチール・動画問わず印象的な画つくりに期待できる。
サムヤンからEマウント用シネレンズ登場
ケンコーが取り扱う韓国のサムヤン社から、ソニーEマウント向けAF対応シネレンズ3種が発表・展示された。焦点距離は24mm、35mm、75mmで、開放値はT1.9(F値1.8)で統一。
2つの大きな特徴として、3種の重量が揃えられている点と、共通のフォーカスリングと電子接点を備えたフードを採用している点がある。
3種の重量をそろえることで、ジンバルやドローンでの使用時にレンズ交換でバランス調整する手間が抑えられ、フォーカスリング付きフードを装着すればレンズ側のリングを絞り調整に割り振ることができるという。