1. HOME
  2. レビュー
  3. SIGMAの超広角単焦点で撮る、春の天の川
レビュー

SIGMAの超広角単焦点で撮る、春の天の川

レビュー

98

春といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?

桜や菜の花といった春の花でしょうか?それとも新生活でしょうか?

三度の飯より星が好きな私にとっては、春の天の川が思い浮かびます。

今回はSIGMAの最新鋭超広角単焦点レンズ3本を、春の天の川撮影で試してみました。

星を撮るためにデザインされたレンズ

今回試したのは、近年発売された以下の3本です。

左からSIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art・SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art・SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art

  • SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art(2022/8発売)
  • SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art(2022/8発売)
  • SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art(2023/6発売)

この3本のレンズの大きな特徴としては、どれも星景写真を撮る人のためにデザインされたレンズということです。

星撮りにあたっての使い勝手の良さ

今回紹介する3本は、以下の面で共通しています。

  • リアフィルターホルダーが装備されている
  • レンズヒーターを使用することが考慮されている
  • MFLスイッチが存在する

リアフィルターホルダーが存在する

リアフィルターホルダーとは、後玉の後ろにフィルターをつけることが考慮されている設計のことです。

通常、フィルターは前玉側に装着しますが、周辺画質の悪化やケラれを嫌って避けられることがあります。

しかしながら、この3本は後玉の後ろにフィルターが付けられるよう、リアフィルターホルダーが存在しています。

これにより、LEE製のソフトフィルター(現在は生産終了)や、ケンコー製の「リア プロソフトン」(2024/6発売予定)などを装着することができます。

また、腕に自信があるという方は、クリアファイルとプラモデル用のつや消しスプレーを使って、自作のソフトフィルターを作ってみるのも一興ではないでしょうか?

ちなみに、20mmと24mmではそれぞれ通常のレンズフィルターも使用できます(20mm:φ82mm、24mm:φ72mm)

レンズヒーターを使用することが考慮されている

星景写真は夜間に撮影することから、太陽光がありません。

よって必然的に気温が露点を下回ることが多くなり、長時間撮影するにつれてレンズに露がついて曇ってしまうことが度々あります。

それを防ぐためにレンズヒーターが使われるのですが、レンズヒーターはふとしたことで前玉側に飛び出してしまうことがあります。

14mmと20mmでは、レンズヒーターを装着した際に前玉側に飛び出さないように、前玉側の直径が一回り太くなっているのが特徴です。

レンズヒーター(筆者私物)を巻いた状態です。

24mmではそのような設計がなされていることが公式からアナウンスはされていませんが、レンズフードを装着した状態であれば似たような効果を得ることができます。

加えて、後述するMFLスイッチの存在もある意味レンズヒーターの使用を考慮した設計になっているのではないでしょうか。

MFLスイッチが存在する

星景写真の撮り方としては、あらかじめMFで星にピントを合わせてから、ピントを固定して数十枚撮影するというやり方が主流です。

そのため、頻繁にフォーカスを移動する必要がないどころか、不用意にフォーカスを動かしてしまうと星が玉ボケとなってしまい、鮮明な画像を得られないことがあります。

今までのレンズでは、フォーカスを固定した後にパーマセルテープでフォーカスリングを固定するというやり方が主流でしたが、三脚を移動したりするとフォーカスを合わせ直す必要が出てしまうことが欠点でした。

NIKON Z f (40mm, f/2.5, 1/125 sec, ISO2000)

しかし、これらのレンズではMFLスイッチが存在します。「LOCK」位置に切り替えると、フォーカスリングからの入力を無効化してくれます。

そのため、うっかりレンズヒーターが回ってしまってフォーカスリングが回ってしまったり、うっかりフォーカスリングに手が触れてしまった際でも、フォーカス位置をキープしてくれます。

加えて、フォーカスを合わせ直す際にはスイッチを元の位置に戻せばピント合わせがしやすくなるほか、3本で位置が共通なことから、使い回した際の汎用性も考慮されているといえるのではないでしょうか。

ちなみに、この機構は他社のレンズではあまり採用されていないので、これらのレンズ特有の装備ではないかと言えます。

作例

前置きが長くなりましたが、早速撮影した作例を見てみましょう。撮影は今年3月、千葉県外房某所にて行いました。

ボディはSONY α7R IVを使用しています。作例は最後のパノラマを除き、全てJPEG撮って出しです。

まずは24mmから。

SONY ILCE-7RM4 (24mm, f/1.4, 8 sec, ISO3200)

 

絞り開放で撮影しましたが、中央から周辺まで画質が良好なことが見て取れます。

重箱の隅を突くなら、若干の周辺減光とコマフレアが気になりますが、前者については遠目で見る限りあまり気にならないのではないでしょうか。

両方とも1段ほど絞ることで改善されます。

SONY ILCE-7RM4 (24mm, f/1.4, 8 sec, ISO3200)

私物の光害カットフィルターとソフトフィルターを装着して、海から上る天の川の中心部分と蠍座を入れて撮影してみました。

ソフトフィルターによって星座が強調されて見やすくなっています。また、天の川の中心部にある星雲もわかりやすくなっています。

24mmは後者のような使い方が最適ではないかと思いました。また、赤道儀をお持ちの方はそれを活用するのも有用ではないでしょうか。

 

続いては20mmです。

SONY ILCE-7RM4 (20mm, f/1.4, 13 sec, ISO2000)

たった4mm、されど4mm。1.2倍の画角の違いは伊達ではありません。

1枚目の作例と同じ場所・同じアングルで撮影しましたが、空も前景もより広がって見えるのがわかると思われます。

こちらもサジタルコマフレアは良好に補正されており、わざわざ拡大して粗探しでもしない限り気にならないのがわかります。

 

続いては14mm。

SONY ILCE-7RM4 (14mm, f/1.4, 15 sec, ISO1600)

良好に補正された各種収差もさることながら、6100万画素と最新レンズの組み合わせはここまで精細な景色を描くものかと、息を呑む程でした。

もはやこのレンズは星景写真用レンズの決定版・最高峰と言っても差し支えないのではないでしょうか。

SONY ILCE-7RM4 (14mm, f/1.4, 15 sec, ISO1600)

ついでに、撮影した写真を4枚合成してパノラマ撮影にもチャレンジしました(この写真のみLightroom Classicで補正・パノラマ合成を行っています)

収差が多いレンズだと、星が流れてしまうことから、パノラマで繋ぎ合わせた際に繋ぎ目が気になってしまうこともあるのですが、このレンズでは繋ぎ目もあまり気になりません。

個人的な感想

普段一眼レフ用の旧世代のレンズを使って星景を撮影している身からすれば、ミラーレス用に最適化されたことで画質が全体的に向上しており、時代の進歩をひしひしと感じました。

今回は絞り開放でレビューしましたが、光学的に補正しきれない収差はやや残っていることがわかりました。なので、現実的には1段ほど(F2.0くらいまで)絞ると使いやすくなるのではないでしょうか。

また、星景撮影に最適化された操作系はとても使いやすく感じられました。

他の撮影者がいるポイントではヘッドランプを使うことがはばかられますから、ライトでいちいち照らさなくても使いやすかったので、シグマの新世代DG DNレンズに縁のなかった私でもまた使ってみたいと思わせるレンズでした。

14mmと20mmと24mmの使い分けとしては、以下のような使い方が妥当ではないかと思いました。

  • 14mm:地形も入れた作品作りに最適。雄大な宇宙空間と天の川を表現したい方へ。
  • 20mm:重量と画質と画角のバランスが取れた汎用型。14mmと24mmのいいとこどりタイプ。
  • 24mm:星座を強調する作品づくりに最適。

20mmと24mmに関しましてはLマウント用のご用意もありますので、ぜひお試しください。