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【初心者でも分かるカメラの基礎知識16】RAW現像で広がる写真の世界
皆さんは「RAW現像」という言葉をご存知でしょうか?
カメラで撮影できるファイル形式に「JPEG」と「RAW」があります。
JPEG形式はカメラ内の処理を経て圧縮されているデータで、高画質でファイルサイズも軽い、という特徴があります。
それに対しRAWは「生の」または「加工されていない」という意味です。
写真撮影におけるRAWはカメラのセンサーが受け取った色データを圧縮せずに保存するファイル形式です。
後からの編集がしやすいという特徴がある反面、画像として扱うことはできず「Lightroom」や「Photoshop」などの編集ソフトが必要です。
そうした撮影後の色編集を「RAW現像」と呼びます。
RAWがネガ、JPGが写真、のようにイメージするとわかりやすいかもしれません。
データが圧縮されていないので、ファイルサイズが重くなる反面、色温度や露光量などをある程度自由に編集できます。
RAWで撮影すれば、作品として写真を作り込むことが可能になります。
いくつかRAW現像の作例をご紹介します。
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レインボーブリッジを撮影した写真
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RAW現像後 お台場の夜景がよりキラキラ輝いて見えます
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東京・浅草寺
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RAW現像後 浅草寺が際立つように赤と青のトーンを意識しました
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小田急線ホームを撮影
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RAW現像後 パキッとイラストのように仕上げました
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新潟県・彌彦神社 玉の橋
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RAW現像後 赤と緑を鮮やかに、周辺の明度を少し落としています。
●RAW現像での編集工程
使うソフトによって詳細や形式は異なりますが、主なパラメータ項目を説明していきます。
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Lightroomの編集画面 現像でこの画像はどんな風に変わるのでしょうか?
●ライト
・露光量:写真の明るさを調整します。
・コントラスト:画像の明るい部分と暗い部分の差を調整します。
・ハイライト/シャドウ:画像の明るい部分/暗い部分を調整します。
・白レベル/黒レベル:画像の最も明るい部分/暗い部分を調整します。
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露光量をプラスし、画像が明るくなりました。上げすぎるとノイズが乗るので注意
●カーブ
カラーカーブで色調を補正できます。
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S字にカーブを曲げるとコントラストが強く(明るい部分はもっと明るく、暗い部分はもっと暗く)なります。
●カラー
色温度、色かぶり補正、彩度を調整できます。
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色温度を3300K→5400Kに変更、青みが強かったので黄色を足しました。自然な彩度も少し上げています。
●カラーミキサー
個別で色の色相・彩度(鮮やかさ)・輝度(明るさ)を調整できます。
空の青だけ鮮やかにする、花のピンク色を少しだけ暗くする…などの使い方ができます。
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ブルーの彩度を下げた写真。
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ブルーの色相をグリーンに振った写真。ここまで色を自由に編集できるのはRAWならでは
●カラーグレーディング
ハイライト・中間調・シャドウに混ぜる色を設定できます。
映画やフィルムのようなトーンを作る時に役立ちます。
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シャドウに青、ハイライトに黄色を入れています。
などなど、各パラメータを調整しながら作りたいイメージに近づけていきます。
撮影後の融通が利くので、予期しない白飛びや、照明の色かぶりを直すときにも便利です。
一眼ミラーレスは、撮って出しでも十分綺麗な写真が撮れます。
ですが、そこにもうひと工夫。RAW現像をやってみることで写真の世界が広がります。
ぜひお試し下さい。